成熟社会 都市ストックの再編
4月 30th, 2012

2011年度、卒論と追いコン

 

湘南台の路上にて。追いコンの日。

ご報告がだいぶ遅れてしまいましたが、3月に無事、追いコンを行い、卒業生を送り出しました。4年生には、ハードカバーで製本した(慶應のマークの入った)卒論をプレゼントとして手渡しました。是非、今後もOB,OGとして、研究室とコンタクトをとり続けてほしいと思っています。卒論のタイトルは以下のとおり。

・一ノ関圭斗「聖地巡礼型まちづくりによる地域振興の可能性について 広島県竹原市を事例として」

・佐藤あすか「オフィスビル街におけるコミュニティ形成への提案 -“裏銀座”の分析より-」

・眞保梨花子「大都市圏成熟期における郊外型大学キャンパスの存在価値 -八王子市内のキャンパスの今後-」

・辻尚宏「コミュニティガーデンとしての屋上農園の現状と可能性 ~サードコミュニティ形成に向けて~」

・町田裕隆「世界遺産登録を見据えたまちづくりについて 群馬県伊勢崎市境島村地区を対象にした提案」

・横田成美「藤沢市太平台風致地区におけるクロマツの景観分析と保全に関する提案」

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3月 16th, 2012

別冊BIOCITY「富士山、世界遺産へ」

BOOKEND社から「別冊BIOCITY 富士山、世界遺産へ」が発刊されました。中島は「富士講の記憶を新たなまちづくりと観光の力」にというタイトルで、昨年の夏から研究会で取り組み始めている富士吉田の御師集落を紹介する記事を書きました。研究会の取り組みのバックグランドの説明です。ひそかに、研究会メンバーの写真も掲載されています(観光ガイドを紹介する写真、i-padを使っているが実は・・・)。なお、サブタイトル、「埋もれて行くもう一つの富士登山とまちの歴史」となっていますが、校正が反映されていないところがあり(タイトル、サブタイトルは編集者の方が付けてくださったものです)、本来は「もう一つの富士登山とまちの歴史」が正しいです。ここに訂正しておきます。富士吉田の歴史、文化資源は、決して「埋もれ行く」ような方向には向かっていません。また、誌面の都合上、カットされてしまった地図を下記に掲載しておきます。それにしても、他の論考はどれも大変勉強になりそうなものばかり、充実していますね。

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3月 5th, 2012

大阪の防災建築街区の視察

泉佐野駅前。両側に端正な表情の防災建築街区が並ぶ。

 

和泉府中の防災建築街区、二階の緑がかったタイルが美しい。なお、ここの「ときめき広場」は必見。

 

小阪の防災建築街区の中庭。銀行が移転し人の流れが失われた後は、商店街の通りにも面している店舗はすべて中庭側に対しては閉じてしまった。一階では唯一、奥に見えるお好み焼き屋が営業を続けている。

建築学会でやっている前現代研究委員会の研究会を大阪で開催したついでに、都市計画遺産班の河本君(学部3年)と二人で、1960年代から1970年代にかけて施行された代表的な防災建築街区の視察を行いました。今回は、近鉄線の河内小阪駅前(サンロード小阪)、阪和線の和泉府中駅前(ロードイン和泉他)、そして南海線の泉佐野駅前(駅上名店街他)の3つの駅前の、何れもRIAが設計を手がけた防災建築街区を半日でざざっと回りました。系譜の逆順に見てまわったのですが、計画当時に思い描いていた表と裏の役割分担、建物内通路や広場的空間の構想と現状とのギャップに、考えさせられるところがありました。個人的には、人々が集い、交歓する場に対するナイーヴだけども素直な当時の思いに心を惹かれているわけです。なお、最後、小阪の防災建築街区のひとつのポイントである中庭では、一軒だけお店がまだ頑張っていて、お昼をそのお好み焼き屋で食したのですが、店内の壁には、お店が紹介された新聞記事の切り抜きが自慢げに貼ってありました。日付は昭和62年。もはやこれは老舗の証明に近い・・・とても美味しかったですが。

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2月 26th, 2012

観光フェスタにブース出展 奥浅草プロジェクト

日本トピアリー協会さんから教わった方法で、みなでスカイツリー型トピアリーを作成しました。

願いをこめて、風船飛ばし。

植木市の魅力を引き出す取り組みに関するパネルを作成しました。

2月25日、あいにくの雨模様の中、奥浅草観光まちづくり協会主催のスカイツリー開業記念(まだですが・・・)の「奥浅草観光フェスタ2012」が隅田公園内で開催されました。中島研究会ではブースを一つ頂いて、奥浅草・植木市プロジェクト(研究会B(2)の学部3年の内田、酒井、山之内)によるパネル展示、スカイツリー型トピアリー作成ワークショップ、そしてそれぞれの願いをこめた風船飛ばし(風船は水溶性)を行いました。当日は気温も低く、人通りも少なかったのですが、それでもトピアリーを5つ作成できたのと、100個あまりの風船飛ばしも盛り上がったので、よしと。まだまだ「観光」という意識、要素が少ない奥浅草ですが、地域にある資源をいかしながら、訪れたくなるまち、訪れて楽しいまちにしていくための地域主導の取り組みのお手伝いをできたらと考えています。

なお、フェスタ後は、地元町内会長さんたち(このまちは本当にみなさん、仲が良い。町内会長同士が長い長い知り合いで、「ちゃん」づけで呼び合う仲。)の打ち上げに参加させて頂き、奥浅草のお店をはしごしたのでした。また、まちから元気を頂いた次第です。

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2月 26th, 2012

富士講の記憶を新たなまちづくりと観光の力に-富士吉田プロジェクト最終報告

「タツ道」の公開イメージ

報告書の表紙は「富士山北口本宮富士嶽神社境内全図」(青山豊太郎作、1892年)。冨士浅間神社を中心に、御師まちから富士山までが一つのまとまりのある世界として描かれている。「富士講の記憶を新たな観光とまちづくりの力に」(とある編集者から頂いたものですが)がタイトルであり提案の趣旨。

2011年夏から研究会で取り組んできた富士吉田プロジェクトですが、2月7日に富士吉田商工会議所で最終の意見交換会、そして2月14日には市長はじめ、市役所職員の前での最終発表会で調査結果を報告しました。研究会B(1)の学部3年の赤松、海野、学部2年の浅香、渡邊、学部1年の湯浅の5名が中心となって何度も現地に足を運び、御師まちの歴史・文化資源を生かした観光まちづくりのアイデアを練りました。主な提案内容は、1フラッグや暖簾などの簡易な手法による街並み磨き、2御師まちならではのタツ道(御師の家へのアプローチ)の公開、3火祭りの御旅所であるコミュニティセンターとその周辺の展示空間・広場化、4ヤーナ川の清掃や龍のイベントなどを契機とした地域のまちづくり体制の構築、でした。フィジカルな話を中心としつつも、それらを広く観光まちづくりの資源としていくための仕組みや仕掛けを提案しました。これらのうち、幾つかは来年度に実施できるよう、これから市や地域の方々と話し合って進めていくことになります。

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2月 14th, 2012

島原プロジェクト、最終報告会開催

島原での最終報告会の様子

まちあるきを促す「湧く湧くタンブラー」

高校生の力に着目した「TEEN PROJECT」

研究会B(2)の緒方、池田、内田、久保、酒井、福島、研究会B(1)の大沼、そして、玉村研の柴田、山脇、駒井研の西原という混合メンバーで取り組んできた、島原市を対象とした地域力向上支援事業、2月8日に他地域のプロジェクトと合同で長崎市内で、さらに9日には地元・島原にて、提案の最終報告をしてきました。島原の豊かな「食」をテーマとした「ご馳走ラリー」・「パッケージデザイン・セミナー」・「料理観光」、「水」をテーマとして、タンブラーというツールで資源をつないでいく「湧く湧くタンブラー」、「海」をテーマとして航路のブランディングとデジタル・サイネージによる「うみのみち」、「高校生」をテーマに、若い力でまちづくりを推進する「TEEN PROJECT」を提案し、様々な意見交換しました。何れも島原が持つ力を掘り起し、内外で繋げて、大きくしていく提案。島原市さんには、来年度も慶應との協働の取り組みを継続し、提案の実現に努めていくことをお約束頂きました。一同、その声を聞いて、より一層の努力を誓ったのでした。来年度もがんばろうー。

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2月 8th, 2012

伊東での研究会合宿

2月4日から5日にかけて、研究会B(1)のメンバーたちと、伊東にて合宿形式の最終発表会を行いました。伊東はSFCのある藤沢市から2時間弱で行ける温泉のまちです。

最終発表は、
●卒業プロジェクト(一ノ関:アニメと関係する聖地巡礼型観光まちづくり、佐藤:裏銀座のテナント構成と屋上利用、辻:屋上農園によるサードコミュニティ形成、眞保:郊外型大学キャンパスの現状と可能性(八王子市))
●グループ研究(富士吉田プロジェクト、都市計画遺産(藤沢防災建築街区)プロジェクト、裏銀座プロジェクト)
●個人研究(カルガリーの都市計画、「湘南台」の歴史的文脈)
と盛りだくさんでした。

発表会の最後には、研究に夢中になること、お互いに厳しく切磋琢磨することでで見えてくる研究の楽しさなど、真面目に意見交換しました。で、その後は・・・・伊東の銭湯(全て源泉かけ流し)で温泉を満喫したあと、打ち上げ飲み会へ。そして、翌日も伊東市内をまちあるきし、伊東の海産物を存分に味わってから、解散しました。

とりあえず今学期、お疲れ様でした(まだ、プロジェクトの報告書のまとめや発表が続きますが・・・)。

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1月 27th, 2012

浅草聖天町マップづくりワークショップ

中島研究会では、今学期、浅草聖天町振興会の方々からの依頼を受けて、聖天町のマップづくりのためのワークショップを企画・運営してきました。先日、1月19日に開催された第三回のワークショップでは、いよいよマップのコンセプト(まちの人も楽しめる、聖天町らしい、「地図」で終わらない)、アイデアを提案し、意見交換を行いました。ようやく、方向性が見えてきました。そして、ワークショップ後は地元の方に奥浅草の居酒屋につれていってもらい、懇親会でした。
ワークショップの結果は、毎回、新聞形式にまとめて、振興会メンバー全員に配布してもらっています。まちの人たちの力、アイデア、知識を集めて、まちづくりにつながるマップをつくっていきたいと思っています。お楽しみに。

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1月 20th, 2012

【書評】和辻哲郎『風土』 その2

 本書は、著者和辻哲郎が海外を旅した際の実感と、その旅先でハイデッガーの「時間と存在」という本に出会ったことを契機として「風土論」という新しい概念を考察したものである。主にアジア地域を「モンスーン」、アラビア・アフリカ・モロッコなどの乾燥地帯を「砂漠」、ヨーロッパ地域を「牧場」と定義付け、これらの3つの類型を主軸とし、それぞれの風土における人間の性質、芸術や宗教の志向などを論じている。それぞれの土地に存する「風土」は、気候や食物の恵みなどの既にそこに存在した「自然」と、その自然と共に生きる「人間」との間柄を認識する方法であり、「自然」と「人間」は独立した個体同士だという概念を否定するものである。人間は自然と対峙・共存してこそ今の「人間」の在り方が成り立っており、この関係性の中での対峙・共存の仕方、知覚・認知の仕方がその土地固有の「風土」である、ということである。

 本書の中での和辻の主張は、後続の学者によって多々批判されている個所もあるようであるが、大枠として正しく、70年前に書かれた書物であるからと言って現代に応用できないなどということは決してない。そもそも地理的な関係で必然的に生まれてきた気象や自然というものがあり、その中で人間(この場合、人類という動物的な単語で示すのではなく、人格を持った個人という意味で「人間」という表現を用いることを強調しておきたい)が生活を営み始めたことは、人間生活の根源に存在するすり替えられない事実であり、その土地固有の自然と協調して、人間は歴史を営んできて、その結果としての現在がある。どんなに時代が変わっても、その「風土」によって育まれた「人間」の、極めて根本的な特性の部分は、古くからの風土によって現代でも規定することが可能だと考える。

 このことは、考えてみれば当たり前で、気象や自然との対話の中で私達は無意識的に均衡を図りながら生活しているのだが、そのことをあえて言語で論じ、体系化して見せたという点で、和辻の取り組みは大変面白いものであったと言える。個人的にはこの本を通じて、改めて人間とその周りの環境との間柄と、その付き合い方が形成する人格や文化について、考えることができたことがとても新鮮であった。

 この議論に対して後続の学者から異論は多々あることは先に述べたが、和辻の議論に明確な根拠がなく、論理性が疑わしいということよりも、こういった視点を改めて認識し、またその視点を活用して人間を論じたという点に和辻の功績は存在する。都市に対して興味を持ち、研究対象としていく私達は、本書の和辻の主張からその「視点」をくみ取り、実際研究に当てはめ、「風土」という観点からも都市を見てみる事が出来るか否か、そこが大切であるのではないかと感じた。

和辻哲郎『風土 人間学的考察』岩波文庫、1979年 (※原著は1935年)
文責:大沼芙実子 (総合政策学部3年)

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1月 20th, 2012

【書評】藤井聡・谷口綾子『モビリティ・マネジメント入門』

 本書は、1990年代後半からヨーロッパやオーストラリア、そして日本で始められ、発展してきた、「コミュニケーション」を重視する新しい交通政策の考え方―「モビリティ・マネジメント(=MM)」―の概要と各事例を、大きく海外・国内に分けて紹介したものである。

 本書では、地域モビリティの衰退や渋滞等のさまざまな交通問題を、単なる技術やシステムの問題ではなく、「人間」が引き起こした社会的な問題と捉えている。そのうえで、コミュニケーション施策などの「ソフト」施策と、交通システムの運用改善や整備などの「ハード」施策を適切に組み合わせながら、当該の地域や交通を、「過度に自動車に頼る状態」から、「公共交通や徒歩などを含めた多様な交通手段を適度に(=かしこく)利用する状態」へと変えていく一連の取り組みを、モビリティ・マネジメントと定義している。

 モビリティ・マネジメントの中心であるコミュニケーション施策の一般的な流れは、次の通りである。

①  MM実施者から、一人ひとりに接触を図り、参加者から情報を提供してもらう。

②  MM実施者の方で、得られた情報を踏まえて、提供する情報・メッセ―ジを改めて加工する。

③  MM実施者から、加工した情報、メッセージを提供(フィードバック)する。

 以上はあくまでも一般的な例であって、実施規模や土地条件によって施策は変わるが、対象となる一人ひとりに、個別的、かつ、大規模にコミュニケーションをとることが、MMにおけるコミュニケーション施策の特徴である。

 本書の、「モビリゼージョンが進行したのは、交通事業者がモビリゼーションに対抗する有効な処置を取れなかったからである」という指摘はとても興味深く、交通事業者が顧客主義のもと、ホスピタリティーを持って利用者と真摯に向かい合うことが必要だと感じた。環境への配慮から公共交通機関の存在感が増している昨今において、モビリティ・マネジメントという考え方は、さらにその流れを加速させる契機になるのではないか。

藤井聡・谷口綾子『モビリティ・マネジメント入門―「人と社会を中心に捉えた新しい交通戦略」』、学芸出版社、2008年
文責:湯浅資(総合政策学部1年)

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