第1回都市計画遺産セミナーのお知らせ Civic Art: its Legacy and Contemporary Relevance?

来たる2013年3月8日に、都市計画遺産研究会主催の第一回都市計画遺産セミナーを開催致します。今回は、イェール大学教授のアラン・プラッタス氏を招聘します。「都市計画家、都市デザイナーにとって、都市計画史はいかなる意味を持つのか」を「シヴィックアート」をテーマにご講演して頂きます。下記、詳細です。
>>第一回都市計画遺産セミナーのポスターはこちら

Planning Heritage Seminar #1
Special Lecture
Prof. Alan J Plattus(Yale University)
Civic Art: its Legacy and Contemporary Relevance?

第一回都市計画遺産セミナー
アラン・プラッタス氏(イェール大学建築学部教授)講演
『シヴィックアート:その遺産と現代的意義』

■日時:2013 年3 月8 日(金)14 時~ 16 時
■会場:東京大学工学部1 号館3 階建築学科会議室 (東京大学本郷キャンパス)
■使用言語:英語・日本語   ※ご講演は英語で行って頂きますが、逐次通訳が入ります。
■定員:30 名(事前申し込み先:中島直人(慶應義塾大学)naoto@sfc.keio.ac.jp)

■趣旨:
歴史家は歴史を書くために歴史に没入します。では、都市計画家や都市デザイナーは何のために歴史に向き合うのでしょうか。 それは都市の現在、都市の未来のためではないでしょうか。本セミナーでは、イェール大学建築学部で都市デザインの教育に携わり、イェール・アーバンデザイン・ワークショップを設立し、地域コミュニティとの協働を基盤とした都市デザインの実践を行ってきたアラン・プラッタス教授を招聘し、「過去のアーバニズムにどう現代的な意義を見出すのか」というテーマでご講演を頂きます。プラッタス教授は、1922 年に出版されたワーナー・ヘゲマンとアルベルト・ピートによる名著『アメリカのヴィトルヴィウス 建築家のためのシヴィックアートの手引き』の復刻や、イェール大学のお膝元であるニューヘイヴン市のシ ティ・ビューティフル運動時代の傑出したプラン『ニューヘイヴン計画1910』の復刻を手がけてこられました。一方で、ニューアーバニズム運動にも最初期から関わり、コネチカット州の中小都市を中心に、アメリカ内外でニューアーバニズムの実践を展開されています。「シヴィックアート」をキーワードに、歴史への言及と実践活動との関係についてお話し頂きます。

■アラン・プラッタス氏の詳しいプロフィールは下記をご覧下さい。http://www.architecture.yale.edu/drupal/people/faculty/plattus-alan-j http://www.architecture.yale.edu/UDW/profile/alan.html

■都市計画遺産セミナーとは?
都市計画遺産研究会(日本都市計画学会共同研究組織)は、「我が国の近代都市計画が現在までに生み出してきたもの、そしてその中で将来に遺していくべきものは何か」を問い、それらを新たに提起、定義すべき「都市計画遺産」(planning heritage) という概念のもとで整理し、今後の都市づくりにおける扱い方について検討していくこと)を目的に、2010 年4 月より活動を開始しています。都市計画遺産研究公開セミナーは、都市計画遺産研究会が主催する公開研究会で、毎回、「都市計画史」や「都市の歴史」をテーマに、国内外から講師をお呼びし、「都市計画遺産」についての知見を磨いていきます。

ぜひ、ご参加下さい。

 

「前現代の都市・建築 遺産としての可能性を問う」、盛況

9月13日、建築学会大会二日目の午前中に開催されたPD「前現代の都市・建築 遺産としての可能性を問う」は、予想以上に多くの方に集まって頂き、広範な議論を行うことができました。資料集も完売です。議論の内容は、近いうちに『建築雑誌』に報告が掲載される予定です。改めて、この「前現代の都市・建築」への関心が高まっていると肌に感じました。

第5回前現代委員会とPD「前現代の都市・建築 遺産としての可能性を問う」開催のお知らせ

6月18日の午後、建築会館にて、第5回前現代委員会の研究会を開催しました。今回は、中野茂夫さんが「松江の官庁街形成」について、小山雄資さんが「鹿児島を中心とした住宅協会の活動」について、最新の研究成果を発表して下さいました。質疑では、まさに都市計画史、住宅政策史、近現代建築史を横断する、「前現代」の本質を問うような議論が展開されました。特に今回は改めて「前現代」における「地方」の重要性が浮かび上がったように思われます。

さて、私たち前現代委員会では、9月の建築学会大会において、下記のようなパネルディスカッションを企画しております。ご関心のある方は、是非、ご参加ください。これまでの前現代委員会での議論を紹介しつつ、さらに視野を広げていきたいと思っております。

タイトル :「前現代」の都市・建築 遺産としての可能性を問う

資料 : あり

日時 : 9月13日(木)9:00~12:30

会場 : 名古屋大学

司会 倉方俊輔(大阪市立大学)

副司会 中野茂夫(島根大学)

記録  小山雄資(鹿児島大学)・石榑督和(明治大学)

プログラム             

1.主旨説明 中島直人(慶應義塾大学)

2.主題解説

❶設計者として語る前現代遺産 伊達美徳(まちプランナー)

❷昭和の都市、建物の魅力をどう伝えるのか? 鈴木伸子(編集者、ライター)

❸前現代の都市・建築遺産の都市史・都市計画史的意義とその現状 初田香成(東京大学)

❹身近にある前現代建築の魅力とその活かし方 高岡伸一(大阪市立大学、ビルマニアカフェ)

3.討論 

コメンテーター

北垣亮馬(東京大学)・青井哲人(明治大学)・中尾俊幸(株式会社アール・アイ・エー)

「前現代」は「現代」ではないが歴史として画期が確定したわけでもない、近過去のある時期を指す造語である。40歳以下の委員で構成される「前現代都市建築遺産(の)計画学的研究【若手奨励】特別研究委員会」では、戦災復興期以降、霞ヶ関ビルが完成し、現行都市計画法が成立する1970年前後までを「前現代」期と設定し、この時期に生み出された様々な都市・建築空間の遺産価値やまちづくりへの活かし方について研究を進めてきた。

今世紀の都市は、そのありようを肯定するにせよ、否定するにせよ、事実としてストックに埋め尽くされている。そして、我が国における建築ストックの多くは「前現代」期に建設されたものである。しかしそうしたストックは、エイジング=老朽化という図式の下、特に次なる大震災への備えの意識から、耐震性の不足という理由ですでに更新の対象となり始めている。我が国の都市の近代は「歴史を消し去る歴史」であったが、これからもその歴史を繰り返すのだろうか。少なくとも、今まだその多くが健在のうちに、それらの遺産価値について議論し、それらを使い続け、都市を成熟させていく、都市生活を豊かにしていくアイデアを用意しておきたい。

近年、前現代の遺産に対するまなざしは確実に豊かになってきている。かつての近代建築の遺産評価の主流であった作家論や意匠論ではなく、都市論、生活論との結びつきをより強めている。日常生活の中に、これらの「少し古い」ものを自然と取り込む人が増えてきている。

本パネルディスカッションでは、委員会での議論を土台としつつ、開かれた議論の展開を目指す。実際に設計した立場、魅力を伝える立場、それを日常生活に取り込み、活用を試みる立場、再開発事業に携わる立場など、異なる立場から、前現代の都市・建築遺産とは何か、それをどう評価し、どうまちづくりに活かしていくのかを議論したい。

 

過去の津波被害からの復興計画史調査

ご報告が遅れてしまいましたが、この夏に、都市計画学会の実施した「過去の津波被害からの復興計画史」調査に、都市計画学会共同研究組織である都市計画遺産研究会のメンバーも協力しました。岩手、宮城における復興計画史に関する資料を収集し、都市別に整理しました。報告書自体はまだ先の発行になりそうです。都市計画遺産研究会としては、ここで得た知見を「三陸海岸都市の都市計画/復興計画アーカイブ」に反映させて公開していくのと同時に、引き続き、今回の被災地のより詳細な調査を行い、減災のための都市計画、まちづくりについて提言していきたいと考えています。なお、夏の調査に基づいた簡単な報告を、メンバーの中島が『建築雑誌』2011年11月号に寄稿しました(中島直人「計画遺産のアーカイビング 三陸地方の復興計画史からの展望」)。また、同内容を、明治大学建築史・建築論研究室主催の都市発生学研究会でも発表しました(当日の報告内容については、青井哲人先生がブログに感想を書いて下さいました)。以上、是非、ご一読ください。

土木史研究発表会特別セッション「石川栄耀の戦災復興を巡る人物論」

6月 18, 2011 by · Leave a Comment
Filed under: イベント, 都市計画遺産研究会 

2011年6月18日、土木学会の土木史研究発表会に、都市計画遺産研究会幹事の4名が参加し、特別セッション「石川栄耀の戦災復興を巡る人物論について」というかたちで3本の研究発表を行いました。もともと、土木史委員会の幹事であり、都市計画遺産研究会メンバーの一人である大沢昌玄さんのお誘いに応じたもので、『都市計画家・石川栄耀 都市探求の軌跡』以降に各自が進めた研究成果を、これまであまり縁のなかった土木学会で一度、発表してみよう、ということで、内容は以下の3本の人物論となりました。

・中島伸「東京戦災復興区画整理における南保賀の役割」
・佐野浩祥・津々見崇「那覇の戦災復興における都市計画家・石川栄耀の役割 -花城直政との関係に着目して―」
・中島直人「都市計画事業家・根岸情治論 石川栄耀との関わりを中心として」

司会は九州大学名誉教授の秋本福雄先生、フロアには篠原修先生、佐々木葉先生、中井祐先生ほか、土木史・土木デザイン分野の大御所の先生や若手研究者が沢山おり(予想以上に・・・すみません、もっとこじんまりした会かと・・・)、緊張感を持ちつつも楽しく発表することができました。最後に秋本先生から、今回の東日本大震災からの復興と本セッションの主題との関係についてコメントを頂いたことで、気分も晴れて、大変有難く思った次第です。今後も、さまざまな場で、積極的に研究成果を発表していきたいと思っております。

佐野さんの発表

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まちづくり展パネル「三陸大津波からの復興」

4月12日から22日まで、東日本大震災からの復興をテーマに建築会館ギャラリーにて開催された「まちづくり展」に、都市計画遺産研究会として、パネル「三陸大津波からの復興 -1933-2011→」を出典しました。1933年の三陸津波後の空中写真、その後の復興計画、2011年の三陸大津波前の空中写真、津波後の空中写真を並べただけのものですが、今回の復興にあたっては、歴史的な感覚を持って望むべきだ、というメッセージを込めました。パネルは「三陸海岸都市の都市計画/復興計画史アーカイブ」にアップしてあります。今後、都市計画史研究者として復興にどのようなかたちで貢献できるのか、が問われています。

まちづくり展

まちづくり展での展示のようす

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WS「『都市計画遺産』の可能性を探る」報告

2月 25, 2011 by · Leave a Comment
Filed under: イベント, 都市計画遺産研究会 

昨年11月14日の日本都市計画学会学術講演会の際に開催しました公開WS「『都市計画遺産』の可能性を探る」の報告が『都市計画』289号(2011年2月号)に掲載されました(掲載されたものには一部誤植がありましたので、ご注意ください)。以下、全文を転載します。

「都市計画遺産」の可能性を探る

 日時:2010年11月13日(土) 16:00-18:00
会場:名古屋大学東山キャンパス 情報文化学部 2階 C22 教室
主催:都市計画遺産研究会

発表者:中野茂夫(島根大学)、瀬口哲夫(名古屋市立大学)、杉山正大(名古屋都市センター)
進行:浅野純一郎(豊橋技術科学大学)、中島直人(慶應義塾大学)、初田香成(東京大学)

都市計画遺産研究会は、2010年4月以降、委員が順番に「都市計画遺産」候補を発表する形式で、3回の研究会を開催してきた。本ワークショップは、初めての公開研究会という位置付けで、委員以外の方々に都市計画遺産や研究会の活動自体についてのご意見、ご議論を頂く場として企画された。前半で開催地名古屋の都市計画史に造詣の深い二名のパネラーに話題提供を頂いた後、後半では「都市計画遺産」の概念、可能性等に関する議論を、会場の参加者も交えて行った。

まず瀬口氏は、都市計画遺産の条件として、1)目に見える「都市空間・形態」をもつこと、2)「形態・空間」を支える「システム」を持つこと、の二点を指摘し、更に近代建築遺産との比較から、都市計画遺産の特徴は、構想力の包含、社会的要請への対応にあると述べた。以降、名古屋を中心とした具体事例を紹介しつつ、最後に都市計画遺産の活用の方向性として、「計画者への敬意や構想力を培う、スクラップ&ビルドへの警鐘、地域変容と共生する計画論」を提起した。続いて、杉山氏は、都市計画遺産のデーターベースとしての都市計画史という考え方のもと、近世城下町から現代までの名古屋の都市計画史を順を追って紹介した。

後半のディスカッションでは、会場からの積極的な発言もあり、都市計画遺産への理解が大きく深まった。議論の主なテーマは以下の二つであった。

 ●他の遺産との比較から見えてくる都市計画遺産の特徴

土木遺産との相違点は何か、という質問から、議論が開始された。都市計画遺産の場合、変容、改変も視野に入れた「物語」や「時間軸」の導入、評価が必要である、社会的要請が色濃く反映されるのが都市計画遺産だとすると、その要請が変化してしまうことによる負の遺産という問題系がある、といった意見が出された。都市計画遺産とは何かを考えるということは、都市計画とは何かを考えることに他ならない、都市計画は「計画するという行為」、「図面にする行為」、「最後に空間にする」、そして「実現した空間」という一連の行為であり、段階ごとに遺産的評価がある、といった意見によって、都市計画遺産を捉える枠組みが共有された。

 ●都市計画の社会的なプレゼンテーションとしての都市計画遺産

都市計画遺産の選定は、都市計画の社会的なプレゼンテーションとしての意味を持つが、それでは誰に情報発信するのか、どのように価値付けを行うのかといった点が議論された。都市計画史研究が遺産の価値付けを担当することになるが、価値を市民に説明するための能力が必要になってくるだろうとの意見が出された。また、市民にとっての都市計画遺産の価値とは何か、という問いに対しては、多様な空間、場所の提供という考えが参考になるのではないかとの意見もあった。インターネット等での都市計画遺産アーカイヴの構築、多様なエビデンスの発掘などについても議論が交わされた。

 なお、ワークショップ開催に先立ち、都市計画史や都市保全計画に造詣の深い方にアンケート形式で①都市計画遺産の候補となる事例・事物、②都市計画遺産や研究会に対する自由意見を訊ねた。26名の方から頂いた回答を研究会で編集し、参考資料として当日配布した。ご協力を頂いた方に、改めて感謝申し上げます。

(文責:中島直人) my pc ip address eminent domain Bystricke hory

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