前現代遺産研究委員会

前現代の都市・建築遺産の計画学的研究特別研究委員会

目的
(2010年9月日本建築学会[若手奨励]特別研究委員会公募書類)

近代の都市空間を大きく改変したのは全国主要都市(115市)において実施された戦災復興計画である。戦災復興計画では、既成市街地内部の土地区画整理が施行され、国内の都市景観は大きく改変されることになった。さらに耐火建築促進法から再開発三法(防災建築街区造成法・市街地改造法・住宅地区改良法)などによって、市街地では再開発や不燃化運動が行われ、初期のビル遺産に代表される多くの建築遺産が生み出された。

ところが、これまでの都市・建築保存政策では、戦後のこうした都市空間や建築遺産の価値について十分な議論がなされてこなかったといってよい。しかし戦後、65年を経て、こうした戦災復興以降の都市・建築遺産の中には、登録有形文化財に登録される条件を満たしているものも少なくない。その保存・活用に向けた計画的研究が求められるようになると考えられる。

したがって本研究では、戦災復興計画が立案された終戦直後から現行都市計画体制の確立した1960年代までを前現代期と定義し、その間に生み出された空間的遺産について、まず法定都市計画の状況を明らかにした上で、①都市景観、②建築遺産の視点から整理し、価値付けを行うとともに、その保存・活用に向けた方法を検討することを目的とする。 

前現代は、都市計画史分野でいえば、戦災復興から新都市計画法、都市再開発法の制定以前までの間であり、都市の不燃化、都市防災といった都市改造の主要概念が際だっていた時期に相当する。この時期は、従来の都市計画史分野では「基本法不在の都市計画」(石田頼房『日本近代都市計画の百年』参照)などと称され、都市内部にさまざまな矛盾を来したことで批判されることが多いのだが、良好な都市・建築の遺産が生み出さなかったわけではなく、試行錯誤の結果、むしろ逆に現在からふり返ってみて興味深い事例も多かった。そしてその多くは、決して過去の遺産ではなく、現在まで使われつづけている現役の遺産なのである。こうした前現代の都市・建築遺産にスポットをあてて再評価するとともに、今後の保存・活用の方法を模索することは、これからの建築学・都市計画学にとって欠かせないものであり、ここに本研究の意義がある。

また前現代は、「戦災」と「復興」とが出発点になり、戦災復興計画に代表されるように大都市に特化されるものではなく、同時多発的に各地でさまざまな都市・建築遺産を生み出したところに特徴がある。したがって中央と地方を比較する視座を得る点でも重要な対象となる。一方で、東アジア各国(中華人民共和国・大韓民国等)には第二次世界大戦によって戦災を受けた都市も少なくない。こうした各国の都市と日本の都市の現代を対照させる上でも有用な素材を提供することになるだろう。

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