WS「『都市計画遺産』の可能性を探る」報告

2月 25, 2011 by
Filed under: イベント, 都市計画遺産研究会 

昨年11月14日の日本都市計画学会学術講演会の際に開催しました公開WS「『都市計画遺産』の可能性を探る」の報告が『都市計画』289号(2011年2月号)に掲載されました(掲載されたものには一部誤植がありましたので、ご注意ください)。以下、全文を転載します。

「都市計画遺産」の可能性を探る

 日時:2010年11月13日(土) 16:00-18:00
会場:名古屋大学東山キャンパス 情報文化学部 2階 C22 教室
主催:都市計画遺産研究会

発表者:中野茂夫(島根大学)、瀬口哲夫(名古屋市立大学)、杉山正大(名古屋都市センター)
進行:浅野純一郎(豊橋技術科学大学)、中島直人(慶應義塾大学)、初田香成(東京大学)

都市計画遺産研究会は、2010年4月以降、委員が順番に「都市計画遺産」候補を発表する形式で、3回の研究会を開催してきた。本ワークショップは、初めての公開研究会という位置付けで、委員以外の方々に都市計画遺産や研究会の活動自体についてのご意見、ご議論を頂く場として企画された。前半で開催地名古屋の都市計画史に造詣の深い二名のパネラーに話題提供を頂いた後、後半では「都市計画遺産」の概念、可能性等に関する議論を、会場の参加者も交えて行った。

まず瀬口氏は、都市計画遺産の条件として、1)目に見える「都市空間・形態」をもつこと、2)「形態・空間」を支える「システム」を持つこと、の二点を指摘し、更に近代建築遺産との比較から、都市計画遺産の特徴は、構想力の包含、社会的要請への対応にあると述べた。以降、名古屋を中心とした具体事例を紹介しつつ、最後に都市計画遺産の活用の方向性として、「計画者への敬意や構想力を培う、スクラップ&ビルドへの警鐘、地域変容と共生する計画論」を提起した。続いて、杉山氏は、都市計画遺産のデーターベースとしての都市計画史という考え方のもと、近世城下町から現代までの名古屋の都市計画史を順を追って紹介した。

後半のディスカッションでは、会場からの積極的な発言もあり、都市計画遺産への理解が大きく深まった。議論の主なテーマは以下の二つであった。

 ●他の遺産との比較から見えてくる都市計画遺産の特徴

土木遺産との相違点は何か、という質問から、議論が開始された。都市計画遺産の場合、変容、改変も視野に入れた「物語」や「時間軸」の導入、評価が必要である、社会的要請が色濃く反映されるのが都市計画遺産だとすると、その要請が変化してしまうことによる負の遺産という問題系がある、といった意見が出された。都市計画遺産とは何かを考えるということは、都市計画とは何かを考えることに他ならない、都市計画は「計画するという行為」、「図面にする行為」、「最後に空間にする」、そして「実現した空間」という一連の行為であり、段階ごとに遺産的評価がある、といった意見によって、都市計画遺産を捉える枠組みが共有された。

 ●都市計画の社会的なプレゼンテーションとしての都市計画遺産

都市計画遺産の選定は、都市計画の社会的なプレゼンテーションとしての意味を持つが、それでは誰に情報発信するのか、どのように価値付けを行うのかといった点が議論された。都市計画史研究が遺産の価値付けを担当することになるが、価値を市民に説明するための能力が必要になってくるだろうとの意見が出された。また、市民にとっての都市計画遺産の価値とは何か、という問いに対しては、多様な空間、場所の提供という考えが参考になるのではないかとの意見もあった。インターネット等での都市計画遺産アーカイヴの構築、多様なエビデンスの発掘などについても議論が交わされた。

 なお、ワークショップ開催に先立ち、都市計画史や都市保全計画に造詣の深い方にアンケート形式で①都市計画遺産の候補となる事例・事物、②都市計画遺産や研究会に対する自由意見を訊ねた。26名の方から頂いた回答を研究会で編集し、参考資料として当日配布した。ご協力を頂いた方に、改めて感謝申し上げます。

(文責:中島直人) my pc ip address eminent domain Bystricke hory

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